Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

パンデミック下での仕事はつらい

2020年、勤め先の会社の業績は前年度を下回った.この10年、前年度を下回ったことがなく、毎年右肩上がりで伸びてきた.だから、実質は大幅ダウンである.営業部長を務めていたのは私なので、つまり自分の成績が大幅ダウンだったことになる.

新型コロナのせいだというと、世界中が同じ状況なのだから言い訳にするなと言われようが、新型コロナのせい以外の何物でもない.正確には、新型コロナのため、人と会うことができなくなってしまったから.

自分の業務は、デスクワークもあるが、客先訪問が最も重要だ.机に向かっている時間よりも外出している時間の方が長い.長かった.新型コロナが蔓延するまでは.終日机に向かっていること自体があり得ない事態で、自宅勤務か出社かというのは、本来は大きな違いではない.

(勤め先の取り扱い製品はすべて法人向けなので、顧客はすべて企業になる.個人宅へ訪問することはない.)

2020年4月以降、自分が知る限りのすべてのセミナー・イベント・学会がオンライン開催になった.お客様も、ほとんどの会社は社外の人との面会禁止.自宅勤務で会社へ来ていない、というところも少なからずあった.中には「うちは全員出社していますし、面会も特に制限はありません」とおっしゃるところもあったが、相手がよくてもこちらが行きたくない.

商談自体は、オンライン会議でも、あるいは電話、メールでも進めることはできる.問題は、商談になっていないものをどうやって商談に持って行くか.お客様の本当のニーズを拾ったり、社内情報を集めたりすることは、畏まった席では難しい.

セミナーやシンポジウムなどで、20人30人を前に話をする機会は多いが、壇上から参加者の顔を見ていると、真剣に聞き入っている人と、興味なさげな人、全く聞いていない人がよくわかる.真剣に聞き入っている人に留意しておき、休憩時間に話しかけるのは鉄則である.オンラインでは聞いている人の画像はオフになるから表情がわからない.マイクもオフだから、話が受けているのかどうかもわからない.そもそもほとんどの場合、参加者がわからない.これでは、提案に結び付けることは難しい.

難しいと言っているだけでは状況は変わらない.オンライン会議やWebサイトの記事、メール配信などの活動を工夫し、新たなやり方を模索したが、思うような成果には結びつかなかった.

責められはしなかったが、売り上げが下がればボーナスが減る.正直、この年はボーナスがなくても文句が言えない状況だったけれど、努力はしていたからと、ある程度はいただけることになった.とはいえ前年度の数分の一.収入が減れば生活にも影響が及ぶ.

新たな契約が結ばれ、売り上げが上がれば、関わってきた人全員が嬉しく感じるものである.一方、努力しても売り上げに結びつかないと、モチベーションが下がり、ストレスを感じるもの.その上、自分は営業部長としての責任もある.

2021年はそれを取り返さなければならなかったが、状況は変わらない.買う買わないは別にして、製品に興味を持ってくれたお客様のことを「リーズ」というが、とにかくリーズを増やす当てがない.リーズがないから商談もない.売り上げは上がらない。収入は減る.

やるべきことをやっても結果が伴わなかったとしたら、また別の感じ方があったかも知れないが、両手を封じられて前線に行っているようなもの.結果より、動けないことに強いストレスを感じる.もちろん、悪い結果にもストレスを感じる.

二年近く、そうした状態が続いた.そして、もう限界だと思った.

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Janeke88によるPixabayからの画像