Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

筒井康隆、日本芸術院賞・恩賜賞を受賞

2022年3月24日、筒井康隆が本年度の日本芸術院賞・恩賜賞を受賞した.

筒井康隆は、星新一小松左京とともに日本にSF文学を確立した大御所的存在であり、数多くのベストセラーを持つ人気作家である.お三方とも直木賞の候補に選ばれたことがあるが、受賞には到らなかった.

当時、SFは異端扱いされており、どんなにすぐれた作品を書いても、SFである以上、直木賞芥川賞も受賞することはあり得ないと思われていた.半村良が受賞して、一応このジンクスは破られたかに見えたが、半村の受賞作はSF作品ではなく、SF作品の直木賞の初受賞は1988年の「遠い海から来たCOO」とされているらしい.私はこの作品は冒険小説でSFではないと思うが.

そんなことから、直木賞を逃した恨みつらみを込めて「大いなる助走」(1979)という作品を書いたり、「士農工商SF屋」などと自嘲したりしていたのも、今は昔.筒井先生は、既に紫綬褒章も受章され、文学賞も、泉鏡花賞谷崎潤一郎賞川端康成賞、菊池寛賞など、主だったものはほとんど受賞されているから、もうご自分が差別されているとか、カーストの下とかいう意識はお持ちでないとは思うが、ついに日本芸術院賞を受賞されたことで、若き日の飢えた思いも満たされたであろうか.

それとも、他の人は60代、70代で受賞しているのに、87歳まで待たせやがって、とお思いであろうか。