Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

三角関数より金融教育なのか?

藤巻健太衆議院議員日本維新の会)が5月17日、「三角関数よりも金融経済を学ぶべき」と金融教育をテーマに財務金融委員会で議論したことをtwitterで発言.これはたちまち多くの批判にさらされることとなった.三角関数を学ぶ必要がないとはなんということか、現代社会でどれほど役立っているか知らないのか、と.

藤巻健太議員の前後のtweetに目を通したが、その主張する内容の是非はともかく、彼が三角関数についてあまりよくご存知ないらしいことはわかった.もっとも、ご本人は高校時代には数学は得意で三角関数もちゃんと勉強したと述べているが.それよりも、価格の説明にアダム・スミスを引用していたのに驚いた.アダム・スミスは偉大な学者だが、18世紀の人.現在の高度資本主義社会は彼の想定した社会とは乖離し過ぎている.失礼を顧みず言うならば、議員は学生時代は秀才だったのだろうが、習ったことが身についていない印象を受ける.

と、つい嫌味を言いたくなるような暴論ではあるのだが、三角関数を擁護する人のtweetやブログを読んでも、私自身、そうだよね三角関数は必要だよねという気にはなれなかった.パソコンやタブレットで絵を描くにも、ゲームをするにも、三角関数は大活躍しているそうだが、ゲームやお絵かきソフトを開発する人はともかく、それを利用する人に三角関数の知識は必要なかろう.藤巻議員を擁護する気はないが、この点は藤巻議員の主張に一理ある.

三角関数をディスったのがよくないので、単に金融の知識も必要と主張すればよかった、との意見も多かったが、授業時間も、子どものキャパシティにも限度がある.必要と思われるものをすべて授業に詰め込むことはできない.長年学校で教えて来たことをやめるとなると、抵抗勢力は大きいだろうが、新しい世の中に対応してくためには、レガシーを大胆に切り捨てる勇気も必要.藤巻議員の主張にどの程度の妥当性があるかどうかはともかく、取捨選択については大いに議論がなされるべきだ.

今回の一連の流れで、三角関数というと三角形を思い浮かべる人が多いらしいことに気づいた.三角関数は、三角形ではなく、円の巻数だと理解した方が、何の話をしているのかわかりやすい.原点を中心とし、半径1の円の円周上の点を座標で表わすと(consθ, sinθ)となり、原点からこの点に結んだ線を延長してx=1の直線と交わった点が(1, tanθ)である.円周上の点をぐるぐる回すと、tanは-∞から∞まですごい勢いで動くが、sinとcosは-1から+1の間を行ったり来たりするだけ.これが波.

文章で書くとわかりにくいが、図とグラフを書けばすぐにわかる.これが飲み込めれば、高校で習う範囲の三角関数の半分は征服したも同然.計算練習はしなければいけないけど.計算は面倒だが概念の理解はそんなに難しいものではないはず.三角関数を削っても、金融経済を学ぶ時間が捻出できるかどうか.