Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

スーパーパワーを手に入れたら

今週のNHKラジオ講座の「基礎英語 in English」は、どんなスーパーパワーがほしいかが話題だ.百瀬先生は鳥のように空を飛びたいと言う.もっともその目的は、オーストラリアの友人の作る料理をいつでも食べに行きたいというもの.オーストラリアまで行かれる鳥は限られているし、行かれるとしても相当な時間がかかる.飛行機で行った方がいいと思うけど.

Hannahは、時間を止めるか、進み具合をゆっくりにさせる能力がほしいと言う.一日が24時間なのは短過ぎる.もっと時間があればもっとたくさんの本が読めるのに.Vinayは透明人間になりたいと言うが、その目的は秘密.

時間を止められる能力も、透明人間になるのも、もし可能ならさぞ面白かろう.崇高な目的のためにも使えるし、誰もが即座に想像する、下品な目的にもきっと役に立つ.しかし、自分ごときがもしそういう能力を授かるとしたら、自分以外の人も授かるだろう、世界はスーパーパワーを持った人間であふれているだろう、と考えてしまう.

時間を止めるのも、透明人間も、自分だけが使える時に(そして周囲が自分の能力に気づいていない時に)初めて意味を持つ.みんなが使えるとしたら、全く意味を成さない.そういう能力が普通である世界があっという間に構築され、期待する効果を発揮することはなくなるはず.

空を飛びたい、という能力はこれとは別だ.ダイアログのJoeもその能力を願っているが、理由は、ビルや木よりも高く上がり、街を眺めたら楽しそうだから.これは、みんなができたとしても、その楽しさは変わらない.むしろ、一緒に空を飛ぶ楽しさがある.ただ、混雑した電車に乗らなくていい、という理由はどうだろうか.みんなが空を飛べれば、そもそも電車はなくなる.代わりに空が混雑する.規制もできる.のびのびと好きなところを飛び回るためには、自分だけであった方がいいのかも知れないが.

「あなたに好きなスーパーパワーをひとつだけ授けてあげます、何がいいですか」と神か悪魔かに言われたとする.そのスーパーパワーを授かるのは世界で自分だけであり、かつ、自分がその能力を授かったことを、自分以外は誰も知らない、ということを保証してもらえるのかは、確認したいところだ.一人だけでなくても、自分に縁のない人間なら他にもいてもいいが、もし世界でスーパーパワーを授かった人間が二人いたら、本来は無関係のはずの二人でも、バビル二世とヨミの関係になり、どちらかが死ぬまで戦うことになるだろうから、やはり二人以上いたらだめだ.


Toby ParsonsによるPixabayからの画像