Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

悲喜こもごもマークシート

「共通テスト」は一昨年までは「センター試験」と呼ばれていた.その前は「共通一次試験」(1979~1989年).

解答方法はマークシート方式と呼ばれる独特のものだ.選択式だが、解答欄に選択した記号を書くのではなく、該当する記号のマークを塗りつぶすというもの.これにより機械で読み取ることができ、自動でミスなく高速に採点ができる.受験生が膨大なため、こういう処理が必要なのだ.

最近は各種の資格試験やTOTOスポーツ振興くじ)、アンケートなどでもマークシート方式を採用したものがあり、すっかりおなじみのやり方となった感があるが、自分は大学受験を意識する年齢になるまでマークシートなど見たことも聞いたこともなかった.当時は誰もがそうだった.受験勉強は、勉強の内容も大切だが、この一風変わった解答方式に慣れることも重要だった.

自分が主権したのは共通一次試験、5教科7科目の時代.試験時間は一教科120分で、二日間に分けて行なわれた.

試験に慣れるには業者が主催する模試(模擬試験)を受けるのが良い.調べてみると、全国的な模試を実施しているのは、河合塾主催の全国統一模試(全統模試)、代々木ゼミナール主催の全国総合模試、進研ゼミ主催の総合学力試験などがあることがわかった.

模擬試験は、共通一次用、私立大学用、国公立大学用と三種類ある.共通一次用に関しては、各社ごとに個性にあふれていた.

進研ゼミは一教科120分は本番と変わらないが、これを一日で行なう.休憩を含めて13時間くらい.早朝から始まり、深夜まで及ぶ.初めて受けた模試は進研ゼミ主催のもの.途中からヘロヘロになり、試験に集中できなかった.会場の都合などいろいろ理由はあるのだろうが、これは予行演習としては相応しくない、というより、こんな疲れることは二度としたくないと思った.以後進研ゼミの試験を受けるのはやめた.

代々木ゼミナールの全国総合模試も一日で行なうが、一教科は70分.8時間足らずで終了する.試験としては許せる範囲だが、問題量や時間配分のことを考えると、120分と70分はかなり違う.これも模擬としては相応しくない.

河合塾の全国統一模試は、本番と同じスケジュールで、二日に分けて行なう.大変だが、これが一番いいと、以後はもっぱら全統模試ばかりを受けた.

試験は、問題文と選択肢の書かれた分厚い冊子と、マークシートが配布され、試験終了時にマークシートを提出し、冊子は持って帰る.問題を一題解くたびにマークしていては時間の無駄なので、まず問題文を読んで、解答もそこにメモしておく.すべての問題を解き、見直しもして、これでよしとなったら、メモを見ながら、一気にマークシートを塗りつぶしていく.人によっては二回、あるいは三回に分けるなど、流儀はあったかも知れない.自分は最後に一気に塗りつぶすことにしていた.

模擬試験の模擬具合は、代ゼミより河合塾の方が上と考えていたが、出題のクセや受験者層などの違いもあり、一度は受けておいた方がいいだろうと、全国総合模試も受けた.上で述べたように、最後にまとめて塗りつぶすのだが、時計を見ながら十分に時間の余裕をもって塗り始めたはずなのに、時間が足りなくなってきた.よくよく見たら、塗りつぶすマークは楕円形なのだが、この楕円が、河合塾の模試のそれよりもやや大きい.そのため、塗りつぶすのに時間がかかる.ひとつひとつはわずかの差でも、チリが積もって山となったというわけ.

パッと見た目にはわからない程度の差でも、運命を変えることがある.恐ろしい話だが、これに気づけたのはよかった.本番の共通一次でのマークの大きさは、河合塾代ゼミの中間だった.


CouleurによるPixabayからの画像