Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

「ロイヤル英文法」も良書だ……恐らく

先日、久しぶりに実書店へ行ってみたら、以前から気になっていた「ロイヤル英文法」が置いてあったので、手に取って拾い読みしてみた.

結論的に言うと、「わからないことがあった時に最初に調べる総合的な文法リファレンス」として、とてもよくできていると感じた.20分ほど立ち読みしただけの印象ではあるが.

本の大きさは「英文法解説」よりコンパクトだが、ページ数は若干多め.金額も少しだけ高いが、ほぼ同程度.類書の中ではかなり安い設定といえる.紙質はよく、活字も読みやすい.

最初に文の構造から説明がある.文法書というのはそういうものだと思うが、「英文法解説」はそうではないため、まずは安心感がある.

この中で、修飾語句は、省略可能なもの(M)と区別して、省略不可能なもの(A)があると説明されている.また、He came running.のrunningは、本書では「補語相当語」と命名されていた.「補語」とは区別するという考えだ.いずれも納得のいくものだ.

一方、五文型八品詞、「仮定法」(「叙想法」ではなく)など、全体としては伝統的な文法の枠組みを逸脱することなく説明されているのも、「最初に調べる」リファレンスとしてのあるべき姿だろう.初学者でも違和感なく利用できる.

索引が異様に充実している.単にページ数だけをとっても、類書の三倍以上.索引が充実しているということは、著者自身が、本書はリファレンスとして使ってくださいと宣言しているのだ.こういう割り切り方は好ましい.

このタイプの書籍としては「英文法解説」ばかりが定番だと喧伝されるが、本書でも十分以上にその責を全うするのではないか.文の構造の説明がある分、「英文法解説」より良いかも知れない.

大学受験を意識するならややレベルが高いと思うが、意欲的な高校生なら一冊備え、わからないことをどんどん調べてみるのは悪くない.

自分でも欲しくなり、真剣に購入を考えたが、中止.第一に部屋に置き場所がない.それに、買ってもどうせ読まない.帰宅後に調べてみると、kindleでも出ていることがわかった.その上kindle版は半額だ.これなら置き場所には困らないし、財布にも優しい.ただ、これまでの経験から、小説や漫画はよいが、リファレンスは紙の本に勝るものはないことを実感している.kindleは対象外だ.

著者は綿貫陽先生、共著として宮川幸久先生、須貝猛敏先生、高松尚弘先生、英文校閲としてマーク・ピーターセン先生となっている.マーク・ピーターセンといえば「日本人の英語」はお世話になった.そうか、あの著者が関わっているのか.

初版発行が1988年、現在入手できるのは2000年の改訂新版のようだ.宮川先生は既に逝去されている.そのほかの方はネットでは消息がわからないが、もし生きておられるなら、綿貫先生は今年で95歳、須貝先生は87歳、高松先生は89歳になる.今後の改訂はないだろう.

なお、同じ出版社から「実践ロイヤル英文法」(綿貫陽、マーク・ピーターセン共著)という本も出ているが、どのように書き分けているのか不明.これも書店にあったから手に取ってみたが、レイアウトが自分の肌に合わず、読むのを中止した.