Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

本の処分 第三弾

本を捨てることは、自分の中の何かを捨てること.それで、何かが削られ、抉り取られるように感じることもある.重しが取れて軽くなることもある.

今回処分する本の中で、入手が最も古いのは、高木貞治の「解析概論」だ.教科書ではない.大学に入学して、自分で購入した.理学部ではなく、数学が必修でもないのに、なぜこの本を読んでみようと思ったのか、今となっては定かではない.一人で孤独に読むには難しい本だが、最後まで読み通したことは小さな自信になった.

後年、高木先生のお孫さんと仕事でお世話になった.名字が「高木」ではなく、最初はわからなかったが、誰かに教えていただいて知った時は驚いた.ご縁だと感じた.周囲に「高木先生のお孫さんなんですって」と興奮して話したら、高木貞治を知らなかった.工学部出身のくせに、なんたることだ.

ライ麦畑でつかまえて」は大学の三年生か四年生の時に買った.世界中で読み継がれた著名な作品であること、16歳の少年が社会に対する反発をぶつけたものという内容が、当時の自分の読むべき本だと感じられた.紙質も活字の書体も読みやすいものであったが、1ページ読んで投げ出した.しかし、いつか読む、そのうち読むと思い、こんにちまで手放せなかった.40年読まなかったのだから、もう死ぬまで読まないだろう.

と、語り出すときりがない.これらの本は、もう自分の一部ではないのだ.