チェコではどんな野球が行なわれているのか、そもそもチェコで野球をやっていることさえ知らずに臨んだが、この試合を見てチェコのファンになった.そういう人が多いのではないだろうか.
4回、佐々木が打者の膝に当ててしまった.かなり痛そうだった.ようやく立ち上がって一塁へ歩くところに山川が近寄り、謝罪をしていたようだが、一塁ベースを踏むと突然外野に向かって走り出し、戻ってきた.大丈夫だよ、気にするな、というアピールだろう.次の打者で佐々木はマウンドを降りたが、その時にもう一度打者走者に向かってお辞儀をした.日本選手、チェコ選手ともにムネアツのシーンだった.
今日は二塁は山田、ショートは中野が先発.投手は佐々木.佐々木の投球は圧巻だった.ストレートはほぼ160km/h以上、フォークも140km/h以上.バッタバッタの三振の山を築く.しかし、チェコの選手の振りも鋭い.振り遅れることなく打ち返している.初回、中野の悪送球で一点を失ったが、以降はしのぐ.ただしコントロールはいまいちで、球数が多い.3回2/3で66球に達し、4回途中で降板.
チェコの先発サトリアは、ストレートは120km/h台、変化球は100~110km/h台と、たいしたことのない球のように見えたが、日本チームはなぜかタイミングが合わず、凡退を繰り返す.漫画「キャプテン」でイガラシ率いる墨谷二中が全国大会に出場し、緒戦で白新高校と当たった時のことを思い出した.相手のエースの威力のない球に墨谷は凡退を繰り返し、応援席から「あんなタマ、俺にだって打てるように思うんだけど」と言われてしまう.今回も、実際に見ていて不思議だった.
しかし3回になると、近藤が二塁打、吉田がタイムリー二塁打、さらに山田がタイムリーと畳みかけ、一気に三点を取る.サトリアが降板した4回はもう遠慮なく、走者二人を置いて近藤がタイムリー二塁打、大谷もタイムリー二塁打、さらに四球をはさんで山田が犠牲フライで4点.これで勝負はついた.
心配された山田は、3打数1安打1打点と復調.エラーの中野は3四球を選び二回ホームを踏んだ.大谷は今日もヒットを打ち、打点を挙げたが、8回、大谷の代打で打席に入った牧はホームラン(2号).近藤も吉田も絶好調.そして、ただ一人蚊帳の外だった村上にも8回、ようやくヒットが出た.これで潮目が変わることを期待したい.
チェコにはプロ野球はなく、今日の選手もみな本業を別に持っているのだそうだ.WBCに出場できたことが嬉しくてたまらないそうだが、その一方で、いい試合をすれば母国で野球をする人が増える(かも知れない)から頑張る、のだそうだ.今後の彼らの活躍を祈らずにはいられない.