Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

奈良岡朋子逝去

2023年3月23日、俳優の奈良岡朋子が肺炎のため逝去.93歳.3月29日に訃報が流れた.

「江」(2011)の大政所(なか)役、「まほろ駅前狂騒曲」(2014)の曽根田菊子役など、比較的最近までテレビや映画に出演していたが、自分にとってはなんといっても印象に残っているのは「風と雲と虹と」(1976)の貴子の乳母役.計算高く、ずるく、高慢だが、裏を返すと自分では何一つ成せる力がなく、男に頼って生きていかざるを得ないみじめな境遇でもあった.立派というか、哀れというか.それでも強く生きようとする姿が印象的だった.

自分の寿命を覚悟していたのか、本人みずから、別れの言葉を用意していたらしい.劇団民藝のサイトから引用:

新たな旅が始まりました。旅好きの私のことです、未知の世界への旅立ちは何やら心が弾みます。
向こうへ着いたらすぐに宇野さんを訪ねます。もう一度あの厳しい演出を受けたいと長い間願ってきました。でもね、宇野さん、私はあなたよりずっと長く生きて経験を積んできましたからね、昔のデコじゃないですよ。「デコ、お前ちっとましになったな」と言われたくてこれまで頑張ってきたんですから。腕が鳴ります。杉村先生とももう一度同じ舞台を踏みたかった。どんな役でもいいからご一緒したい。ワクワクします。
両親に挨拶するのは二、三本舞台をやって少し落ち着いてからにします。それからは裕ちゃんや和枝さんと思いっきり遊びます。
これが別れではないですよ。いつかはまたお会いできますからね。
それでは一足お先に失礼します。皆さまはどうぞごゆっくり…  奈良岡朋子