Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

福原愛は「泣き虫愛ちゃん」ではない

石川佳純の引退表明を受けて、いろいろなニュースの記事やブログなどを拝読.福原愛を引き合いに出すのはよいが、福原のことを「泣き虫愛ちゃん」と書いている記事をいくつも見た.このような書き方はやめた方がいい、いや、やめてほしいと思っている.

福原愛は1993年に小学生卓球選手権大会に出場.これが初の公式戦出場になる.当時4歳.この大会で全国ベスト16に入る.「天才卓球少女」と騒がれると同時に、試合中に不利になるとべそをかいたところから「泣き虫愛ちゃん」とも呼ばれた.

しかし、彼女が公式戦で試合中に泣いたのはこの時だけ.4歳児であれば不思議ではない.福原愛でなくても泣くだろう.が、その後、泣きながら練習に励む姿がたびたびテレビで放映され、「泣き虫愛ちゃん」は彼女の代名詞としてすっかり定着した.

これについては、「泣き虫愛ちゃん」として売り出したいマスコミが、母親の協力のもとに行なった一種のヤラセであることがわかっている.母親は、マスコミの取材がある時は、わざと厳しい練習を課し、威圧的に怒鳴るなどして、意図的に泣かせようとしたと言う.愛本人も、自分が泣くまで撮影が終わらなかった、泣くと終わりになったと語っている.

さらに、4歳、5歳の頃にテレビに出演させ、共演者が彼女をわざと泣かせるという事件も何度も起きた.お茶の間の好感度が高いとされているタレントたちだ.中には、愛の母親から泣かせ方を教えてもらったと公言する人もいた.

「泣き虫愛ちゃん」は親とマスコミによって作られた虚像だ.しかもそれは、幼児虐待、人権侵害といえるような行為が繰り返し行われた結果.当事者は糾弾されてしかるべきだと思うが、母親も関係したタレントもあっけらかんとそのことを口にしていることからすると、罪悪感を持っていないのではないか.そのことが恐ろしい.

このような幼少時代を過ごしたにも関わらず、福原愛はひねくれもせず、卓球を嫌いになることもなく、穏やかで優しい人間に成長した.さらに、自らの引退時の記者会見で涙ぐむと「最後まで『泣き虫愛ちゃん』でしたね」と自分でツッコんだ.トラウマというわけではないらしい.それは喜ばしいが、だからといって仕掛けた人たちが許されるわけではない.

大事なことなので二度言う.福原愛は「泣き虫愛ちゃん」ではない.