Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

藤井聡太名人の誕生

6月1日、名人戦第五局で藤井聡太六冠が渡辺明名人に勝ち、名人位を奪取.これで七冠.藤井は20歳10ヵ月.谷川浩二の持つ名人の最年少記録(21歳2ヵ月、1983年)を40年ぶりに更新.また羽生善治は七冠制覇を25歳4ヵ月で達成した(1996年)が、これも27年ぶりに大幅に塗り替えた.

藤井は、棋聖のタイトルも、王将のタイトルも、棋王のタイトルも、渡部から奪った.逆にいえば、以前は渡辺がそれだけタイトルを持っていたということだが.渡辺は19年ぶりに無冠となった.

藤井は、名人というタイトルについては「特別の重みがある。自分がその域に達することができたとは思っていない」、七冠達成には「羽生さんの時は全冠制覇なので、並んだとは思っていない」と相変わらず謙虚なコメントだ.

名人位は、挑戦するまでに時間がかかる.予選に当たる順位戦は、C級2組からA級まで5つのリーグにクラス分けされ、一年かけてリーグ戦が行なわれる.名人に挑戦するためには各リーグで上位の成績を上げ、クラスをひとつずつ上げ、A級で一位になる必要がある.従ってプロ入りから最短でも5年かかる.藤井はC級1組で一敗して昇級を逃し、6年かかった.これは谷川浩二と同じ.最年少記録を塗り替えたといっても、谷川より誕生日が遅かったためで、実質は同等.

羽生善治は、1989年に初タイトルの竜王を獲得するが、一期限りで失冠.翌年に棋王となり、これは12期連続となるが、他のタイトルは取れず.1992年に三冠、1993年に四冠となるが、取り返した竜王を再び取り返されるなど、取ったり取られたりが続く.1995年に全冠制覇を果たすが、一年限りだった.

渡辺明は2004年に竜王となり、9期連続でタイトルを守るが、その間、竜王以外のタイトルは取れず.竜王を明け渡してから棋王、王将とタイトルを増やし、2020年に名人となった.

他の棋士も同様だが、要は、いくら強くてもタイトルを取るのは簡単ではなく、それを守るのはさらに難しい.理由はいろいろあろう.同じ将棋でも、タイトルごとに持ち時間をはじめ、いろいろ違いがあり、得意不得意が出ることもある.苦手な相手がいることもある.年間を通じてコンディションを維持するのが難しいということもあろう.嘘か本当か、虫の嫌いな将棋の渡辺くんは、夏場の対局に弱いという説もあった.

ところが、藤井聡太は、今のところ、タイトル戦を一度も負けていない.挑戦したタイトルはすべてタイトルを獲得し、防衛戦はすべて防衛している.これは信じられないことだ.恐らく今年中に王座を獲得し、全冠制覇を達成するのではないか.それを何期維持するか.何年も維持しそうだ.渡辺明くんが再びタイトルを取る日は、もう来ないかも知れない.

藤井聡太の相手別対戦成績(10番以上)

相手 勝率
豊島将之 21 11 66%
渡辺明 20 4 83%
永瀬拓矢 11 5 69%
羽生善治 11 3 79%
広瀬章人 11 3 79%

豊島将之とは初対戦から6連敗したが、直近は8連勝中と、苦手を克服した.そうすると、現在藤井以外の唯一のタイトルホルダーである永瀬拓矢が、一番苦手な相手ということになる.王座戦は注目だ.

中学生棋士

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