ウルトラマンの放映開始は1966年7月17日、ウルトラセブンは1967年10月1日.間もなく60年が経とうとしている.このシリーズは来月から放映が開始される最新作「ウルトラマンアーク」まで連綿と後継作品が作られ続けており、ウルトラセブンは直接の続編となる「平成ウルトラセブン」や派生作品である「ULTRASEVEN X」なども制作された.「シン・ウルトラマン」のような作品も生まれた.40周年、45周年、50周年、55周年.節目の年にはさまざまなイベントが開催された.今なおその人気は衰えることを知らない.
初期の地球の防衛隊員のうち、ムラマツキャップ、キリヤマ隊長、イデ、ソガらは鬼籍に入ってしまったが、ハヤタもダンも、アラシもフルハシも(同一人物だが)、アマギも、そしてフジ・アキコもアンヌも健在.今期の朝ドラではダンとアマギが共演するサプライズもあった.
「ウルトラマン」がAmazonPrimeで公開されれば高い再生数が記録され、「ウルトラセブン」はデジタルリマスター版のボックスが発売された.60年近く前の作品が、今なお高く評価され、鑑賞されている.
このようなことができるのは、もちろん作品自体の素晴らしさは言うまでもないが、関わった役者さんに誰も犯罪者がいない、ということも実は地味に大きいと思っている.ウルトラの役者、監督、その他主要なスタッフに、麻薬に手を出した人はいないし、レイプした人もいない.人を殺した人もいない.一人でもそういう人がいれば作品はすべてお蔵入りだ.何周年記念イベントなど問題外.続編制作も躊躇されるだろう.
以前、とあるイベントでひし美ゆり子さんにお目にかかった際に「そのことに感謝しています」と伝えたところ、結構真面目な顔をして「それは当たり前のことです」と言われた.失礼なことを言ってしまったのかも知れない.当たり前だと思う人にとっては当たり前であり、犯罪を犯さないことを感謝されても、莫迦にされているように聞こえてしまったかも知れない.しかし、ファンから見れば、それは当たり前ではないのだ.大河ドラマにしても、「相棒」にしても、そういう理由で再放送できない、BDが発売できない、NHKオンデマンドでも視聴できない作品がいくつあるか.
60年の間には、さまざまなことがある.ふと弱い心が顔を出し、誘惑に乗ってしまいたいと思った人も、実はいるのではないだろうか.でもきっと、あの番組に出演した以上、子どもの夢を壊すことはできないのだと思い直して踏みとどまった人もいると思うのだ.そういう人は、やはりヒーローだと思うのだ.