10月30日(日本時間31日)、ワールドシリーズはドジャースがヤンキースに四勝一敗で勝ち、世界一を決めた.大谷翔平は移籍一年目で、山本由伸はメジャー一年目での快挙.ちょっと出来すぎた話だが、「持っている」というのはこういうことなんだろう.
ロサンゼルスで始まった第一戦、一点リードされた8回裏、大谷翔平が二塁打を放ち、相手の守備がもたつく間に果敢に三塁まで進む。次打者ムーキー・ベッツの外野フライで同点.試合は延長へ.10回表、一点を勝ち越されるが、その裏、一死一二塁で大谷がレフトへファールフライ.ランナーはタッチアップで二三塁.ベッツは四球で満塁.フリーマンが逆転サヨナラ満塁ホームラン.
第二戦、先発山本は6回2/3を自責点1に抑える好投.その間に味方は4点取った.ヤンキースは9回に1点を返すのがやっと.この試合で大谷翔平は7回裏に盗塁を試み、タッチを避けようとやや不自然な形で左手をつき、左肩を痛めてしまう.苦痛に顔を歪めていたが、あんなに痛そうな顔は初めて見た.よほど痛かったのだろう.なお駆け寄ったトレーナーと「どっち?」「左……」「外したのか?」「多分……」というやりとりが聞こえたのは驚いた.セカンドベースにもマイクが仕込んであるという.すげー.
試合後、亜脱臼であること、翌日精密検査を受けることが発表された.翌日が移動日でよかったが、もう出場できないかも知れない.下手をしたら来季にも影響が出るかも知れない.それにしても肩を叩かれたとかではなく、滑って手をついただけなのにこういうことが起きるなんて、野球は結構怖い競技だ.シーズン中、多くの評論家が「走るのはすごいけど怪我が心配」と語っていたのはこういう事態を予想していたのか.
その後、大谷の無事が報告され、第三戦以降もテーピングしたまま出場を続けた.ケガの影響かどうかはわからないが、その後の大谷は精彩を欠いた.とはいえ、打線に名があるだけで相手にプレッシャーを与えるから、調子を落としても貢献したとは言えるだろう.
ニューヨークで一勝一敗のあとの第五戦、序盤でヤンキースに5点を先行された.今日も負けだな、ロサンゼルスで勝負だ、と思っていたところ、5回に5点を取って追いつき、さらに6回に1点を取られるも8回に2点を取り返し、一点差のまま試合終了.大谷の最後の打席は打撃妨害という珍しい結果となった.MVPは四戦連続ホームランを放ったフリーマン.
試合後のシャンパイファイトで、大谷はドジャース編成部長のフリードマンに「あと9回やりましょう」と言ったそうだ.ドジャースは12年連続でポストシーズンに進出しているが、ワールドシリーズ制覇は二度目.「大谷は一年目で優勝したから、簡単にできると思っているようだ」とフリードマンが笑いながら明かした.