11月3日、横浜DeNAベイスターズはソフトバンクホークスを四勝二敗で破り、日本一に輝いた.
横浜スタジアムで開幕となった本シリーズは、第一、第二試合は序盤で点を取られ、終盤に粘りを見せるも追いつけず二連敗.ホークスは日本シリーズ14連勝で記録更新.ホークスの強さを感じさせる展開で、もう横浜に戻ってくることはないだろうと思った.多くの人が同じように思ったはず.
ところが第三戦は東が7回を1点に抑える好投を見せ、4-1で勝利、第四戦はケイが7回を無失点に抑え、5-0で勝利、第五戦はジャクソンまでが7回を零封し7-0で勝利.ホークスは26イニング連続無得点の日本シリーズのワーストタイ記録.ベイスターズは試合ごとに得点力が上がっている.
2日に行なわれるはずの第六戦は雨のため順延.東が出て来るかと思ったが、当初の予定通り大貫がスライド登板.今季ポストシーズンではベースターズはハマスタで勝てていない、いや勢いはベイスターズ、でも大貫は初戦で打たれた、でも仮に負けても七戦は東がいる……などと始まるまでは気が気ではなかったが、終わってみたら11-2の圧勝.
2回に筒香がホームランで先制点を叩き出す.このシリーズはすべて先制点を取ったチームが勝っている.おまけに打ったのが筒香.これでベイスターズは乗りに乗ったということだろうか.3回を終えて4点.ホークスも4回に柳田のツーランで押し返すが、5回に7点の大量得点をあげ、試合を決める.筒香は満塁で走者一掃のタイムリーを放つなど、4打点.その後はホークスの選手からは覇気がなくなったように感じた.
自分はそもそもクライマックスには反対派であり、レギュラーシーズン3位のチームが日本シリーズに出場することに疑問は感じるが、ポストシーズンのベイスターズはこれまでとは全く別のチームに感じられた.投手はピシャリと抑え、打線は上位も下位も隙がなく、守備も随所に好守を連発.勢いもあるが、ジャイアンツに二連敗を喫した後の第六戦といい、今回の初戦から二連敗を喫したあとの連勝といい、粘りのある、本当に強いチームだ.むしろこれだけのチームがなぜペナントを取れなかったのか.
5月に筒香が日本に戻って来た時、「ベイスターズを優勝させることしか考えていません」と言っていた.そう言うしかないだろうが、さすがに優勝は難しいと思っていた.その筒香も、既にピークも過ぎ、チームの牽引車となって獅子奮迅の働きを……というわけにもいかず、ベンチを温めることもしばしばあった.が日本シリーズでのこの活躍.本当に「できていた」と言うべきか.
小久保監督の采配にはいろいろ批判があった.自分も見ていて「はて?」と感じることは多々あった.第三戦で1点に抑えていた先発のスチュワートを4回で下ろした時も(5回に出て行った大津が2点を取られて負け投手)、二戦以降ヒットの出ていない山川を最後まで四番から外さなかった時も(前後の柳田、近藤は当たっていたので、近藤と入れ替えたら打線がつながったのでは).ただ、自分はホークスの選手を熟知しているわけではないから、これ以上は言うまい.
二連勝して「連勝記録を14に伸ばしましたね」と訊かれた時に「いや、日本シリーズは3敗まで出来るので」と答えていたこと、三連敗したあと、「これでもう負けられなくなりました」と答えたことはさすがにおかしいのではないか.答えが逆だ.「3敗までできる」というのは負けた時に言うこと.負けを気にしても仕方がない、次に勝てばいいこと、と気持ちを切り替えることは大切だ.しかし押せ押せで来ている時に水をかけるようなことをなぜ言うのだろう.「これでもう負けられなくなりました」と言われたら「じゃあ今までは負けるつもりでやっていたんかい!」と突っ込みたくなるのではないか.
監督に必要な資質はいろいろあるが、「モチベーターであること」はその最たるものだと思う.自分がホークスの選手だったら、このセリフを聞いたらがっかりする.この点は苦言を呈したい.
三浦監督の采配は対照的にズバズバ当たった.投手交代もそうだが、これまで6番を打っていた桑原をなぜかシリーズでは1番に起用したこと.期待に応えて見事に打線を引っ張った.
MVPは桑原将志.27打数12安打、.444、9打点.第二戦から5試合連続打点はシリーズ新記録.全試合で安打を放った.
優秀選手賞は筒香嘉智(22打数6安打、.286、1本塁打、6打点)、アンソニー・ケイ(7回被安打4、奪三振7、無失点)、アンドレ・ジャクソン(11回2/3、自責点2、防御率1.54).
敢闘選手賞は今宮健太.24打数9安打、.375、2打点.
それにしても前回の日本一は1998年.26年ぶり.監督の三浦やコーチの鈴木尚典、石井琢朗らは現役だった.牧秀悟は祝賀会の挨拶で「優勝は嬉しいけど、レギュラーシーズンは3位だった.この借りは来年返さなければいけない」と言っていた.次の日本一まではそう遠くないのではないか.