たいていのスーパーマーケットでは、買い物をした後の袋詰めは客が自身ですることになっており、会計を済ませたあと、袋詰め専用の台へ移って作業を行なう.この台のことを作荷台(サッカー台)という.
自分は長い間、作荷台だと思っていた.それも間違いではないらしいが、元々は英語のsacker(袋詰めをする人)からきた言葉だそうだ.株式会社折兼(食品包装資材・厨房機器の大手)のサイトには用語集があり、そこには「サッカー台」が次のように説明されている.
スーパーなどで、購入者が会計後の商品をレジ袋やマイバッグに詰めるときに使う台。英語のSacker(リュックサックのsackにerが付いたもの)から作荷という造語ができ、別名で作荷台ともいう。
作荷という言葉も業界では使われているらしいが、国語辞典には記載はないようだ.新語というほど新しくはないが、まだ一般には浸透していないという判断だろう.
多くの店では、作荷台の上に、オレンジ色の卓球の球をあしらったような小ぶりの道具を置いている.レジ袋やポリ袋の口を開けようとしても、指が滑って開けづらい.そのために指先を濡らす道具だ.これをメクボールという.以前は濡れダスターがよく置いてあったもの.新型コロナ騒動以降、それは不衛生ということになったのだろう、一気にメクボールが普及した.本来は水を入れておけばいいのだろうが、ほとんどはアルコールである.指先の殺菌にもなり、一石二鳥だ.*1
今さらりと「メクボール」と書いたが、この製品名はこの記事を書くために調べて初めて知った(調べるのに苦労した).開発したのはプラス株式会社.今のところ同社のみ.だからメクボールは商品名だ.いずれ他社から類似の製品が出て来た時は、言い換える必要が出て来るかも知れない.「バンドエイド」を「救急絆創膏」に、「セロテープ」を「セロハンテープ」に言い換えるように.
プラスのリリース記事によれば、コロナ禍で2020年の売上は前年の三倍になったとある.私は、コロナ以前にはメクボールを目にした覚えがない.現在はコロナ以前と比べて300倍くらいは売れているのではないか.作荷台専用というわけではなく、本来は伝票や紙幣の勘定、切手や印紙の貼付など、幅広い利用を目的にしているようだ.スポンジ式のものと比べて、丸洗いが可能で清潔に使用できる、劣化しないので長く使えるなどのメリットがあるようだ.