Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

タイムスリップ・コレクターになれたら

あの時代に戻って、あれが入手できたらなあ、と思うことがある.過日「タイムスリップ・コレクター」という漫画を読んで改めて感じた(タイムマシンで過去へ戻り、現在では入手できないものを購入してくる人の行動を描いた作品).

転売して儲けたいわけではない.自分が触ったことのないものには食指が動かない.それでも、かなうものなら手に入れたい.せめて、もう一度だけでも読み返したい、と思う本がある.

集英社刊「なぜなぜ理科学漫画」

  1. ひらけいく宇宙
  2. やさしい天気教室
  3. 生きている地球
  4. 植物の世界
  5. 動物の王国
  6. 虫の国をたずねて
  7. 魚・貝のふしぎ
  8. 鳥の博物館
  9. 人体の神秘
  10. 光・音・熱の魔術師
  11. 機械の実験室
  12. 自然と原子の驚異


小学生の時、10巻までは買い揃えてもらってボロボロになるまで読んだ.自分の自然科学への興味・関心はこの本によって培われたと言っても過言ではないほど.本が古くなり、また大きくなっていつまでも漫画ではなかろうということで、どこかの時点で捨て(られ)たのだろう.その時は惜しくはなかった.

年を経て、断片的に記憶に残っているページや解説を思い出すたびに、もう一度読み返したい気持ちを抑えることができない.「自分はこうやって勉強して来た」という足跡をたどりたいのだ.復刊ドットコムにも名前が挙がっており、復刊を熱望する人がそれなりにいることがわかる.現在の基準では内容が恐らく間違いだらけなので、若い人には読ませたくない.出版社が復刊に否定的なのは、恐らくそれも理由なのだろう.

集英社刊「学習漫画日本の歴史」

これは全巻は持っていなかった.揃えたのは平安時代から江戸時代までだったか.正直なところ、作画はイマイチ(絵そのものはうまいのだが、キャラクターの描き分けができていないため、みんな同じ人に見えてしまうのが困る).また漫画といいつつ、やたらと文章量が多く、読みにくい.上述の「なぜなぜ理科学漫画」と比べれば、のめり込むほど読み込んだわけではないが、それは作品の質の違いではなく、自分自身の興味が、歴史よりも自然科学に向いていたためかも知れない.

「オン・ステージ第II集」(エレックレコード)

音楽に関しては、書籍ほどではないが、どうしてもほしかったものがあることはある.よしだたくろうの「オン・ステージ第II集」だ.

このライブアルバムの魅力は、他のアルバムやシングルと重複する曲がほとんどないこと.唯一「人間なんて」だけはアルバム「人間なんて」に収録されているが、アルバムのタイトルにもなっているくせに、収録されているのはショートバージョン(しかも腹の立つことに、歌詞カードにはロングバージョンが記載されていた).たくろうはスタジオ録音もよいのだが、ライブでこそ映えるミュージシャンだ.それは「ともだち」や「ライブ'73」を聴けばそう思う.1971年の生のたくろうを聴いてみたいと思うのは、ファンなら当然だ.

そう思い、レコード店へ行っては手に取って、中を見たりジャケットを眺めたりしてはため息をつき、そして棚に戻すという作業を何回したことか.馴染みの店主から「間もなく買えなくなるから、欲しいなら買っちゃった方がいいよ」(エレックが倒産したため)と言われていたが、二枚組で3000円は、当時中学生だった自分にはとてつもなく高価で、おいそれと手が出るものではない.結局買えないまま店頭から姿を消してしまった.至極残念ではあったが、仕方がないことというのは世の中にはたくさんあるのだ.

井上陽水吉田拓郎、チューリップなど、当時ほしかったけれど買えなかったアルバムは、大人になって懐が豊かになってからCDを買い漁った.しかし「オン・ステージ第II集」はいまだCD化されていない.

でも、もしタイムマシンで1974年に戻り、さあ今ならレコードが手に入りますよと言われても、どうするかな.レコードが手に入ってもレコードプレーヤーがないから、どうせ聴けないし.

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