Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

吉田彰逝去

2024年2月16日、チューリップの初代ベーシスト、吉田彰が逝去.75歳.1月19日に上田雅利twitterにて公開した.共同通信によれば噴門食道接合部癌とのこと.

チューリップのオリジナルメンバーは普通は財津和夫、吉田彰、安部俊幸姫野達也上田雅利の5人を指す.アマチュア時代を含めて考えれば財津和夫と吉田彰こそがオリジナルだ.財津と吉田の友情からチューリップは生まれた.

メンバーは皆それぞれに魅力的だが、吉田には強く惹かれるものがあった.吉田と上田が脱退したのを機に、チューリップを追いかけるのをやめた.ほどなくして安部と姫野も脱退し、第一期のチューリップはバラバラになる.脱退の理由は報道されなかったはず.何処かで誰かが何かを語っているかも知れないが、自分は知らない.

ただ、安部、姫野、上田に関しては、その後の行動を見れば想像はつく.安部と姫野はオールウェイズを結成し、その後上田が合流.財津と目指す音楽性の方向がずれてきたのだろう.一方、吉田は音楽界から足を洗い、姿が見えなくなった.「一生を音楽業界に捧げられるほど、自分にはミュージシャンとしての才能はない」と悟ったのではないか、などと勝手に想像し、残念に思っていた.

ずいぶんあとになって、喫茶店を経営していることを知った.一度行ってみたかったが、ミュージシャンを辞めたということは、チューリップのファンが訪れるのは迷惑かも知れない、とも思い、やめておいた.その後、店を畳み、コーヒー豆の販売を行なっていると聞いた.自分が知っていたのはそこまで.チューリップの度重なる再結成にも加わることがなく、ゲストで呼ばれることもなかった.他のメンバーと絶縁しているのでは、などと悪い想像が広がっていた.

今回の報道を見ると、吉田の死の知らせが、恐らくは家族からメンバーにあり、それをファンにいつ公表するかメンバー間で話し合いがなされ、ステージで財津がその話をし、それを受けて上田がtwitterで一般公開した.吉田と他のメンバーがちゃんと連絡を取り合っていたことに安堵した.

いろいろ調べてみると、吉田の運営していた珈琲店のWebサイトはまだ残っており、今月の頭まで更新されていた.「2月20日(火)はよしだ屋珈琲店の開店記念日です」とある.これを書き込んだ正確な日付はわからないが、この時はお元気だったのだ.

さらにいろいろ見ているうちに、10年以上前から自作の曲をYouTubeに盛んに投稿していたことを知った。珈琲店の経営を続ける中でさまざまな「いい話」「いい出会い」があり、それを歌にしたのだという.彼は音楽をやめてはいなかったのだ.最新のアップロードは1月14日、つい最近だ.

さっそく聴いてみる.あの懐かしい、温かい吉田さんの声だ.ベース以外の演奏は誰がやっているのだろう、すべて自分でやっているのだろうか、それとも「仲間」がいるのか.かなりの腕だ.素人ではないだろう.アレンジも素晴らしい.チューリップらしくはないが、吉田さんらしさをそこかしこに感じる.

人間は死んでも音楽はいつまでも残る.吉田彰さん、僕はますますあなたのファンになりましたよ.

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