Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

名乗るということ

スーパーやコンビニなどの小売店、レストランなどの飲食店では、個人経営の店を除くと、従業員は名札を胸につけている.これは、何かあった時に客が担当者を特定できるようにするため.つまりは、業務に責任を以て当たることを示すものである.病院などの施設では身分証明書をつけていることもある.部外者が紛れ込まないよう、セキュリティの意味もあるのだろう.

近年、これを嫌がる人が多いという.名前を覚えられ、SNSで学校や住所を特定されて、家に押しかけて来る人がいるという.デメリットはたくさんあるが、メリットがわからない、という意味の声をよく聞く.

不思議だと思うことが二つある.

ひとつは、名前を出すことの意味を店が教えていないのか、ということ.責任の持ち方はいろいろあるが、名乗るのはその第一歩.たとえ短期のアルバイトといえども、仕事に対する役割と責任の理解は必要だ.そうでなければ誇りをもって取り組むことはできないのではないか.

もうひとつ、仕事で名前を出すのは厭だという人が、SNSでは本名や学校や住所を平気で晒している事実.そちらの方がはるかに問題だと思うが、ここでは深入りしない.

名を名乗ることは重要だが、本人が特定できればいいのだから、本名である必要はない.クラブなどの女性従業員がそうしているように、源氏名をつけるという方法はある.ただし、源氏名を名乗るのであれば、その仕事をしている間はすべてその名前で押し通さなければいけない.雇用者側は、履歴書は本名、給与の税金などの計算も本名、店で名前を呼ぶときは源氏名と、二倍の名前を覚えなければならず、手間が格段に増える.しかし、好むと好まざるとに関わらず、これからは徐々にそういう方向に進むのかも知れない.

被雇用者側もたいへんである.源氏名を覚え、その名前で呼ばれたら反応しなければならず、従業員同士もその名前で呼び合わなければならない.名札なんかつけたくない、と言っている人ほど、こうした面倒さに耐えられないような気がするのだが.

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Michal JarmolukによるPixabayからの画像