Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

近藤誠逝去

2022年8月13日、医師の近藤誠が虚血性心疾患のため逝去.73歳.

1988年、文藝春秋に「乳ガンは切らずに治る」を寄稿.この頃は毎月文藝春秋を買っていたから記事は見ているはずだが印象には残っていない.その名を意識したのは、1996年の「患者よ、がんと闘うな」だ.

非常に大雑把に要約すると、がんが見つかっても下手に治療をする方が死期を早めるという論.がんを取るために内臓を大きく切り取ったら、健康で長生きできるわけがない.著名人の誰それさんも誰それさんも、手術をしなければもっと長生きできた、とあちこちで盛んに主張していた.

興味深いが、もとより素人の自分に正邪は判断できない.専門は違うが、友人に医師免許を持っている人がいたので、意見を聞いたことがある.彼女も、よくはわからないが、本を読む限りは正しいような気がする、と言っていた.

年を経るごとに過激になっていった印象がある.多くの医師からは批判を浴び、近藤理論にかぶれた人が検査を受けなかったり治療を拒否したりしたため、治る癌も治らなくなった患者が続出したとか.医学に大きな功績を残した人だが途中から闇落ちした、という人もいた.須賀原洋行の「天国ニョーボ」を読むと、標準治療で治る見込みがなくなると、多くの医師が近藤理論に近いことを言い出すという.

現在の、新型コロナのワクチンの良し悪しも同じ.科学者であるはずの医師の間で、ここまで真っ向から判断が分かれるのはどうしてなのか.素人は何を信じればいいのか.