山本浩二のサイクルヒットは、鈴木啓示の3000奪三振のずっとあとだと思っていたが、今確認すると、こちらの方が一年早い.そのことが意識にあって「やらせ」を疑ったのかも知れない.
1983年4月30日、広島カープの山本浩二は、三塁打を打てばサイクルヒットという状況で迎えた第五打席、打った打球は左中間の二塁打コース.が、二塁を蹴って果敢に三塁を目指す.送球を受けた掛布雅之のタッチは間に合わず、セーフとなった.
この時の掛布の緩慢な動作は、記録のためにわざとではないかと、当時かなり批判を浴びたらしい.
今当時の動画を見ると、掛布のタッチよりも、むしろ外野を転がる打球を負う外野手の動きが緩慢に見える.死ぬ気で追いかけたら二塁でアウトにできたのでは、と思うほど.そうすると、そもそも山本への投球が、打ってくださいといわんばかりのものだったのではないかとも思える.
この時カープはタイガースに対して12-0と大量リードをしていたから、ここでコージに三塁打を打たせてやったところで試合の勝ち負けには影響しない.この程度に目くじらを立てることはない、という意見もあるようだ.しかし、そのようにお膳立てして作られた記録にどれほどの価値があるのだろうか.
この時の投手や外野手の気持ちはわからない.今となってはどうでもいい.自分が言いたいのはただひとつ、仮にもプロなんだから、ヤラセをするならするで、誰にもわからないように、もっとうまくやってくれ.