2023年9月9日、元プロ野球選手の平野光泰が逝去．74歳．
強かった時代の近鉄バファローズの核弾頭のトップバッター．俊足強肩の外野手として活躍した．1980年にはサイクルヒットを記録．同年のオールスターではMVPを獲得．1984年、ロッテオリオンズの仁科時成が9回二死までノーヒット・ノーランを続けたが、最後にヒットを打って記録を阻んだのは平野．
しかし私がこの人の名前を忘れないのは、「江夏の21球」で知られる1979年の日本シリーズ最終戦、9回裏に登場しているからだ．
3勝3敗で迎えた第7戦、勝った方が優勝のこの試合は、4-3、カープ一点のリードで9回裏を迎えた．ゼロに抑えればカープの勝利、サヨナラならバファローズの勝利．ともに初の日本一が懸かっていた．
トップバッターの羽田耕一は初球をヒット．代走に藤瀬史朗．次打者クリス・アーノルドの時に藤瀬が盗塁*1．水沼の悪送球で藤瀬は三塁へ．アーノルドは四球．代走に吹石徳一*2．次打者が平野光泰．
この平野が打席に立っている時にカープの古葉監督がリリーフの用意をさせ、それが江夏の目に入ったことから、江夏は「自分は信用されていない、ここでマウンドを降りるなら辞める」と心中で憤っていたのは有名な話．古葉は、同点で延長戦に入る可能性を考え、（江夏は既に3イニング投げていたから）次の投手の準備をさせたのであり、のちに江夏も「理解できる」と述べているが、この時は相当に動揺したようだ．
その間に吹石が盗塁に成功．無死二、三塁となったところで敬遠策．平野は一塁へ歩いて満塁となる……．
何百回と語られた話だ．確実にプロ野球史に名前を刻んだ．合掌．
