9日、文化庁は2021年度芸術選奨の文部科学大臣賞を贈る16人および新人賞の12人を発表した.新人賞の12人の中には漫画家のよしながふみがいる.
文化庁のサイトによれば、「優れた業績を上げた芸術家等の功績をたたえるため」各種の顕彰制度が設けられている.その中でも芸術選奨は「演劇,映画,音楽,舞踊,文学,美術,放送,大衆芸能,芸術振興,評論等,メディア芸術の11分野において,その年に優れた業績をあげ,新生面を開いた者に,芸術選奨文部科学大臣賞または芸術選奨新人賞を贈る」とある.1950年に始まり、今年は第72回.
歴代の受賞者を見てみると、歌舞伎、浄瑠璃、声楽、舞踊、写真などの分野は私にはわからないが、作家や俳優、歌手、脚本家、映画監督は知っている名前がしばしば登場する.そこそこ長くやっていい仕事をしていれば、いただけそうな印象である.しかし漫画家は滅多にいない.私が見ただけだから見落としがあるかも知れないが、過去の受賞者は岸本斉史(2014年度、「NARUTO」)、ヤマザキマリ(2015年度、「スティーブ・ジョブス」)、東村アキコ(2019年度、「偽装結婚」)、吾峠呼世晴(2020年度、「鬼滅の刃」)の4人だけのようだ.よしながふみ(「大奥」「きのう何食べた?」)は5人目という理解で正しいだろうか.
この名前を見る限り、それなりに話題になる仕事をした人である.選ばれるのは当然.が、同じように、あるいはそれ以上にいい仕事をした人はたくさんいる.選ばれなかった人が不憫ではある.とはいえ、こうした分野で漫画家が当然のように選ばれるようになった時代を、素直に喜ぶべきだろう.