Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

紙の本が好き

今朝のツイナビに「Y氏は暇人(山田全自動)」さんのtweetが紹介されていた.

記事では、理由を聞いて納得、のように書かれていたが、見ている世界がまるで違う印象を受ける.

ツイ主は、(1) 物質として紙の本が好き、(2) 本がズラッと並んでいる空間にいるだけでワクワクする、(3) 電子書籍より紙の本の方が頭に入りやすい、(4) 読書は、本を買いに出かけたり、本屋で選んだり、装丁をじっくり見たり、好きな場所で読んだり、という行為も含めて楽しいもの、紙の本はそういう体験に紐づくから記憶に残りやすいのではないか、と理由をあげ、だから電子書籍より紙の本が好きだと述べている.

理由も含めて、書かれている内容には全面的に賛意を表する.私は本の形が好きだ.ページをめくる時の手触りが好きだ.新しい本を買ってページを開いた時の、あの独特の匂いが好きだ.古い本の、埃と黴の混じったような香りも好きだ.

しかし、書籍というのは場所を取る.一般的な家庭では、本棚を置くスペースは限られているだろうし、その中に入れられる本の数は明確な上限がある.本棚に収められなければ、机の上に積んだり、床に転がしたりするしかないが、それもいっときのこと.残りの大部分は段ボール箱にでも入れて、押し入れに積み上げるしかない.

今部屋にある本を目の子で数えてみると、本棚に並んでいるのは約2,000冊.大半の蔵書は押し入れの中だ.その押し入れも収納の限度に達している.だから新規で買う本は、電子書籍しか選択肢がない.同居人は、蔵書を諦め、図書室利用に転向した.紙の本を好きに買える人がうらやましい.

蔵書というのは、所有していること自体が楽しいわけではない(実は、そういう部分がないでもないが).読み返したいと思った時にいつでも読めるように、手許に置いておくのだが、書棚に並べられなかった本は、押し入れのどこかにあると思っても、探し出すことはまず不可能.結局、読み返さず、持っているだけで満足するか、半日くらい潰して押し入れをひっくり返して探すか、再度購入するかしかない.そうやって再読を諦めた本も多々ある.三年前に引っ越しした際に、重複して所有している本が三十数冊発見された.中には三冊あった本もある.見つかっただけだから、実際にはもっとあるだろう.

電子書籍の長所は、物理的に場所を取らないところ.そのすべてをどこにでも持って行けるところ.数が増えても、作者名か作品名を覚えていれば、検索ですぐ探せること.欲しいと思った瞬間に入手できること.また、紙の本は絶版で入手不可能でも、電子書籍として復刻されるケースが増えてきたこと.

それでも、電子書籍で満足できるかといえばそうではない.私の夢は、買うのを諦めた(紙の)本を買い、泣く泣く処分した本を買い戻し、蔵書をすべて本棚に並べることだ.そのためには広い図書室が必要.年末ジャンボの一等・前後賞に当たるとか、会ったことのないブラジルのおじさんからの遺産が転がり込むとかでもなければ、実現できない夢だが.


Ahmad ArdityによるPixabayからの画像