現在プロ野球12球団の監督12人のうち、5人が野村チルドレンなのだそうだ.代表監督も含めると、13人中6人.元監督や、コーチなども含めると、野村克也の薫陶を受けた人物は野球界に大勢いる.野村はこれだけ人を遺したのだ……
野村克也が亡くなられたあと、故人が好んで口にしていた「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上」が引き合いに出され、教え子が球界で活躍している様子が伝えられる記事を目何度かにした.昨年、ヤクルトスワローズが日本一になると、監督の高津臣吾が、ノムラの教えを実践しているとたびたび口にしたことから、再度、野村門下生の活躍が話題になった.
高津は確かに野村の影響を強く受けただろう.しかし、それ以外の人はどうであろうか.
真っ先に変だと思うのは、西武ライオンズの辻発彦だ.もちろん野村から教わったこともあるだろう.しかし、辻はライオンズ黄金期の主力選手.辻の師匠は誰かと言えば、森昌彦(祇晶)の名が挙がるべきだ.
阪神タイガースの矢野燿大は、ポジションが捕手ということもあり、参考になることは多かったかも知れない.しかし監督としては、20年の現役生活のうち、3年付き合っただけ、しかも3年連続最下位.どちらかといえば星野仙一の影響をより強く受けているのではないか.
日本ハムファイターズの監督(ビッグ・ボス)に就任し話題を撒いている新庄剛志は、野村との関係は良好であったことをたびたび語っている.新庄は頭のいい人で、野村との関係を強調することは自分の印象をよくすることにつながると計算しているはず.監督として新庄が野村野球を受け継いでいるとは思えない.本人も、歴代の監督のいいところをミックスして、それに新庄色を足すと、野村の真似をするつもりはないことを明言している.
代表監督の栗山英樹も、野村との接点は現役晩年の一年だけ.野村に育てられたとはいえないだろう.
野村克也は、監督を24年続け、3000試合以上をこなした.接点のある選手は多い.だからといって、その中の誰かが出世するたびに、ノムラの教えが生かされたともてはやすのはやり過ぎだ.正真正銘の野村チルドレンで監督経験者は、古田敦也、尾花高夫、稲葉篤紀、高津臣吾、コーチ経験者は、宮本慎也、池山隆寛、伊藤智仁、吉井理人といったところか.こうしてみると、確かに人材が輩出されている.微妙と思われるのは石井一久.ご本人はどう思っているか、聞いてみたいもの.
前述の森昌彦からは、監督経験者だけでも秋山幸二、石毛宏典、渡辺久信、伊東勤、辻発彦、工藤公康と多く、成績も相当だ.東尾修は含めていいのか迷う.ここに清原和博の名がないのが寂しい.
