Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

時間の経つのが早くなる

歳を取ると時間の経つのが早くなる、という.私たちが「最近の出来事」と認識していることが、若い人にとって「ずいぶん前のことですよ」とか「まだ生まれていません」などと言われてしまう、というのは多くの人に共通する現象のようだ.

この現象は理屈で説明することができる.よく言われるのは、一定の時間、例えば「一年」という期間の、生まれてから現在までの「全期間」に占める割合が異なるというもの.20歳の人にとっての一年は人生の20分の一だが、60歳の人にとっての一年は、人生の60分の一に過ぎない.

20歳の人にとって一年以上前の出来事は「かなり以前」のことだろうが、60歳の人にとって10年くらい前でも「つい最近の出来事」のように感じることがある.上記の理屈ではこの現象は説明できない.

若い、というより、学校に通っている人にとっては一年の違いは大きい。新年度になると、学年が変わり、教科書が変わり、教師が変わり、先輩がいなくなり、クラス替えがあればクラスメートが変わり、数年単位で卒業や進学といった大きなイベントが挟まる.だから、それが何年生の時の出来事かは鮮明に記憶される。中学三年と高校一年では全く違うのだ.

就職すると、そこまで明確な区切りが亡くなる.短期のプロジェクトに関わったり、異動があったりするが、数年から十数年のスパンになることが多い.課長時代のことだった、と記憶していても、年度まで特定するのは難しい.

私は数年単位で業務がドラスティックに変わってきた.だから業務に関することは、かなり正確に時期を特定できる.8年前と10年前と12年前は違う.それを「最近」と思うか「はるか昔」と思うかは別にして.

ただし、業務に関連しないことは、この限りではない.特に音楽については、仕事を始めてからは新しいものに興味をなくしてしまった.興味をなくしたというより、新しい音楽に接する機会がない.だから興味を持ちようがない、というのが正直なところ.

寺尾聡の「Atmosphere」(1983年)や大瀧詠一の「Each Time」(1984年)、中森明菜の「ミ・アモーレ」(1985年)あたりがリアルタイムで聞いていた最後の時代.1970年代の音楽であれば、一年刻みでかなり深いところまで語れるが、1985年以降となると、My Little Loverの「evergreen」(1995年)、ポケットビスケッツの「Colorful」(1997年)、paris matchの「♭5」(2004年)くらいしか印象に残るものがない.だからひとくくりにするしかない(それにしても、My Little Loverポケビはある程度昔という認識はあったが、「♭5」などは「比較的最近」と思っていた.20年近く前とわかり、愕然としている).

深い興味のないことに関しては、10年20年単位でひとまとめにして語るしかないのだ.