Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

その気があるなら具体案を

20代の頃は、職場の同僚と飲みに行くことはほとんどなく、仕事柄、お客様と直接のお付き合いもなかった.30代になってから、職場の同僚と飲みに行く機会が増え、またお客様とも日常的なやりとりが発生し、たまに飲みに行くこともあった.

そういう日々を送っていると、「今度、飲みに行きましょう」という言葉を頻繁に聞くようになる.

私は、酒を飲むのも飲み会の雰囲気も好きだから、そう言われたら「いいですね、是非行きましょう、いつにしましょうか、今週だと木曜日だと都合がいいです、来週なら……」のように答えるのだが、そこから先がおかしなことになる.予想では「木曜日は出張でいないんで、来週にしませんか、来週なら月と水が空いています」「月曜日なら私も大丈夫です、では月曜で」のように話がさくさく進んでしかるべきだと思うのだが、大半の場合、相手はちょっと驚いたような顔をして、申し訳ないけど今は忙しいから、このプロジェクトが終わって落ち着いたら是非、のように言葉を濁すのだ.

根が正直だから、しばらく経って落ち着いたと思われる頃こちらから連絡を取り、「落ち着いたら飲みに行きましょうとおっしゃっていましたが、状況はいかがですか? よかったらそろそろ……」と声をかける.ほとんどの場合、相手は困ったような声で、何かと忙しくて今は厳しい、落ち着いたらこちらからご連絡しますと、はぐらかされる.

世の中には、私はあなたに好意を抱きました、これからもよろしくお付き合いください、という意味を伝えるつもりで「今度飲みに行きましょう」と言う人がいるのだ.本当に飲みに行く気など、1ミリもないのに.

そのことに気付くのにずいぶん時間がかかった気がする.

今度の週末飲みに行きませんか、と誘って、「今週は無理だけど、来週ならいいですよ」のように言われるならば、もちろん何の問題もない.その気があるかどうかわからない相手にこちらから誘って断わられたら、仕方がないと諦めもつく.相手から行きましょうと言われて、こちらが喜んで具体的な日程を伝えた時に、具体的な代案のないまま断わられると、少し傷つく.それは小さな傷だが、積み重なれば平気ではいられない.

そのうちに、本当に行きたいと思っている人は具体的な内容を提示する、ということに気付いた.具体案がないまま声をかける人は、その気がないのだ.それがわかってからはイヤな思いをすることは減った.ただ、その気もないのに声だけかける人が多いことに、別の意味で唖然とした.


Terri CnuddeによるPixabayからの画像