Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

批判と中傷(その2)

公表されたものが批判に晒されるのは当然.また、誰しも批評や批判をする権利はある.だが、ネットで目にするドラマの感想となると、首をかしげたくなるものが少なくない.

まず第一に、よく見ていないなら書かないでほしい.朝ドラは朝の忙しい時間帯、大河ドラマもまた食事中ないしその後片付けの時間帯.気を取られることも多く、常に凝視するわけにはいかない人も多かろう.それ自体は構わないが、そうした人が、あそこは矛盾するだの説明が足りないだのと言うのはいただけない.それ、ちゃんと説明がありましたよ、としか言いようがない.

「なんか突然あれがこうなったように見えて、理由がわからなかったんですけど、私、何か見落としていますか?」みたいな言い方であれば問題はないわけで、要は言葉遣いに帰するとも言えるが、今日も今日とて、ある有名人のブログで、「光る君へ」を見たが自分には全く合わない、20分で見るのをやめた、と言いつつ、あそこがダメここがダメと書き綴っているのを目にした.いやいやあなた、20分で見るのをやめたんですよね? 残りの40分を知らないんですよね? こうした人は意外に多い.

第二に、人の嗜好は千差万別ということ.どんなに名作と言われるドラマでも、100人が見て100人が感動するわけではない.自分が推しているものを別の人が気に入らなかったからといって責めてはならないが、自分にも好みはあるのだ.自分が気に入らなかったからといって、それは自分が受け入れられなかったというだけであり、直ちにダメな作品ということにはならない.自分の理想や好みと合わないというだけの理由で、これはダメな作品だと決めつけてはいけないのだ.

これらは批判でも批評でもない.単なる悪口だ.悪口は読んだ人を不愉快にさせる.単なる視聴者でもそうだが、これを関係者が見たら、どれほどガッカリするだろう、どれほどやる気がスポイルされるだろうと考えると、残念になる.

ドラマというのは(あるいは、朝ドラというのは、でも、大河ドラマは、でもいいのだが)本来こうあるべきだ、というものをまず示し、その上でこの作品がそこに足りていない点を指摘してくれれば、批判になり得る.そういう意見ならば、自分が好きな作品に対してネガティブな結論であっても、読んで不愉快にはならない.その人の見方を理解することもできるし、議論も成り立つ.そういう意見を読みたい.現状はほとんどないのだが.

twitterなどでは文章を短くまとめなければいけない関係上、結論だけを言ってしまうのは仕方のない面もある.しかし「こんなの大河ドラマじゃないよ」と言われたら、それではあなたの考える大河ドラマとはどういうものですか? と訊き返したくなる.恐らく説明できないだろう.それをきちんと説明できる人は、こうした言い方はしないと思うのだ.


Joachim SchnürleによるPixabayからの画像