Adminではないけれど [隠居生活編]

主に無職の身辺雑記、たまに若い頃の自慢話。

家で仕事はしない

私はもともと、家では仕事をしない主義だ.会社で、仕事が終わらなければ延々と残業するが、帰宅したら仕事はしない.週末に仕事が終わらず、月曜の朝までにどうしても進めなければいけないものがある時は、たとえそれが2~3時間程度の作業であっても、会社へ行くことにしていた.2時間以下で済みそうなら、月曜日に早起きして早朝残業で対処.家ではしない.

ひとつは、会社の方が圧倒的に能率がいいから.資料は揃っているし、必要な文具や機材もある.プリンタがある、スキャナがある、何より机が広い.資料や作業中の書類などを並べておける.仕事に無関係のものがないから集中できる.

自宅の机は小さい.会社で割り当てられたデスクのざっと半分くらいの面積.机上には個人のPCや請求書、手紙などが散乱する.周囲には漫画や雑誌が並ぶ.そこに会社支給のPCを置いて仕事ができるか.

そもそも仕事関係の資料は何一つ家には置いていない.ノートパソコンは持ち歩いているから、パソコンの中だけで完結するものであればできるのだが、能率よく進められるかといえば、別.それなら移動時間はかかっても、会社へ行った方がいい.

なにより、自宅は仕事を離れ、リラックスする場所だ.仕事を思い起こさせるようなものは置きたくない.置く場所もない.

一昨年の三月以降、そうも言っていられなくなり、自宅で仕事ができる環境を整えた.机の上が狭いのは変えられないが、資料は持ち帰り、プリンタもスキャナも大型ディスプレイも購入.そして仕事と私生活のけじめがなくなった.

以前は、朝は眠い目をこすりつつ置き、着替えて、時間までに家を出ることだけを考える。そうして電車に乗ってから、えーっと今日は会社に着いたらまずナントカをチェックしないといけないな、その前に〇〇さんに確認を取って……などと考えつつ気持ちを徐々に切り替え、会社に着いた時には、「よし、やるぞ!」と戦闘モードになっているのが常であった.帰宅時は、仕事が終わっても残っていても、どこかの時点で、今日は終わりと決めて、ノートパソコンのふたを閉じたら終了.それから帰宅しつつ、クールダウンしていく.時には寄り道をして一杯やって、リラックスする.

通勤時間というのは、切り替えスイッチのようなものだ.1時間15分という長い時間が必要かどうかはさておき、時間的にも(移動という)物理的にも、必要なものだった.自宅勤務は、朝起きたらすぐに仕事.寝る直前まで仕事.休憩時間と思っても、パソコンにはメールがくる.机の上は仕事関係の書類.部屋にいてもくつろげない.外資系の宿命で、夜中でも土日でもメールが来る.読まなくてもいいが、着信すればわかるから、気になる.

こんな状況が二年近く続いた.神経をやられるのは当たり前だ.もし自分がたいへんに裕福で、ある程度広い部屋を完全に仕事部屋として固定出来たら、こうした問題は解決できたかも知れない.ただしこれを実現するためにはたいへんな費用がかかる.それを勤労者個々が準備するのではなく、会社側がまとめて提供しましょうというのがオフィスなのだ.勤労者が毎日その場所まで移動しなければいけないのは一見不合理だが、合理的な理由はある.

自宅勤務で問題ない、あるいは、自宅勤務の方がいい、という人にとってはよかったと思うが、自分にとっては、自宅勤務の長期化は苦痛でしかなかった.

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